事業承継のご相談

ご相談例

 ・経営権を後継者に移転させるためにはどうすればよいですか?
 ・事業承継で留意しなければならないことは何ですか?
 ・相続人の遺留分にも配慮した事業承継対策をするにはどうすればよいですか?
 ・遺留分に関する民法の特例を利用するためにはどうすればよいですか?
 ・後継者がいない場合にはどうすればよいですか?

事業承継対策を行わなかった場合に起こりうる法的問題

事業承継対策を行わなかった場合には、以下のような法的問題が生じることがあります。

(1) 遺言がない場合、共同相続による自社株式や事業用資産の分散
相続人が数人いる場合には、各相続人が、法定相続分に応じて被相続人(亡くなった方)の遺産を承継します(民法第899条)。相続人同士の遺産分割協議によって、自社株式や事業用資産を経営者に集中させることができればいいのですが、協議が整わなかった場合などには、自社株式や事業用資産が分散し、後継者が会社を経営していくことが困難となってしまう事態が生じます。

法定相続分については、こちらをご参照ください。
相続のご相談 | Law and Legal Information Site

(2) 遺言に関して生じる法的問題
たとえば事業承継のために自社の株式や事業用資産を一人の相続人に対して遺贈してしまうと、他の相続人の「遺留分」を侵害してしまう可能性があります。自己の遺留分を侵害された遺留分権利者は、受贈者等に対して、遺贈または贈与の減殺を請求することができます(民法1031条)。遺留分減殺請求が行われた場合には、価額弁償をしない限り、原則として贈与等を受けた目的物を返還しなければならず、その結果、自社の株式や事業用資産が分散し、円滑な事業承継が阻害されてしまいます。

ほかにも、遺言は民法が定める方式に従う必要があるため(民法第960条)、遺言の方式に反している場合には、他の相続人から遺言の無効を主張される可能性があります。また、遺言の趣旨が不明確な場合には、その記載の趣旨をめぐって争いとなる可能性もあります。

遺言を有効に作成するためには専門家へのご相談をお勧めいたします。
遺言作成のサポート

(3) 第三者に会社を売却する場合に生じる問題
会社を第三者に売却する場合であっても、会社の企業価値を正当に評価してもらうために、事前の対策が必要といえます。
たとえば、会社の事業が経営者個人の固有資産に依存している場合や、会社の資産と経営者個人の資産が曖昧になっている場合などには、それぞれの資産の線引きを明確化する必要があります。また、会社の株主が複数人となっている場合には、株主を整理しておくことを求められることがあります。

事業承継に関する基礎知識

1. 民法(遺留分)に関する基礎知識

(1) 民法における遺留分の定め
遺留分制度は、被相続人(亡くなった方)の遺産について、その一定割合を相続人に承継させることを保障する制度です(民法1028条)。相続人の生活安定や遺産の公平な分配という観点から認められているものです。

遺留分の解説につきましては、こちらをご参照ください。
遺留分について | Law and Legal Information Site
また遺留分減殺請求を検討されている方のサポートもしております。
遺留分減殺請求のサポート

(2) 経営承継円滑化法による民法の特例
以上のような遺留分の制約に対して、事業承継を円滑に行うために、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(経営承継円滑化法)において、遺留分に関する民法の特例が設けられています。
この経営承継円滑化法の民法の特例を利用することにより、後継者が経営者から贈与等により取得した自社の株式を遺留分算定の基礎財産に参入しないという合意をすることができます。また、後継者が経営者から贈与等により取得した自社の株式について、遺留分算定の基礎財産に参入する価額を固定する合意をすることができます。

2. 会社法の基礎知識

(1) 株式の分散防止(株式譲渡制限、相続人に対する売渡請求)
株式会社は当該株式を譲渡する場合に会社の承認を要する旨を定款で定めることができます(会社法107条1項1号)。この株式譲渡制限を利用することにより、株式が分散することを防止できます。
なお、株式譲渡制限は相続による取得には適用されませんが、さらに定款で定めることにより、株式を相続した者に対して当該株式を会社に売渡すことを請求することができるようになります(会社法174条)。

(2) 種類株式の活用(議決権制限株式等)
異なる種類の株式として、株主総会における議決権の全部または一部が制限されている株式(議決権制限株式)を発行することができます(会社法108条1項)。会社の後継者には議決権のある株式を取得させ、それ以外の相続人には議決権制限株式を取得させることによって、後継者に会社の経営権を集中させることができるようになります。

3. 会社を売却する場合の手法

(1) 吸収合併・新設合併
会社の権利義務の全部を、既存の他の会社または新しく設立する会社に承継させる方法です。

(2) 吸収分割・新設分割
会社の事業に関する権利義務の全部または一部を、既存の他の会社または新たに設立する会社に承継させる方法です。

(3) 株式交換
自社の株式と他の会社の株式等を交換する方法です。自社の発行済み株式の全部を他の会社が取得することとなり、自社は他の会社の100%子会社となります。

(4) 株式譲渡
経営者が保有する株式を第三者に譲渡する方法です。

(5) 事業譲渡
会社の事業の全部または一部を他の会社に譲渡する方法です。

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