「うちには資産がないから相続なんて関係ないよ」
と思っている方へ。

相続で引き継ぐのは、資産だけじゃないんです。

法律上は「一切の権利義務」を承継します(民法896条)。
つまり「権利」だけでななくて「義務」も承継するということです。

亡くなった方が持っていた土地や家、現金、預金などを取得できる一方で、
その人が負っていた借金も「義務」として引き継がなければなりません。

でも相続人は自分で借りたわけではないのに、
借金を返していかなければならないなんて可哀想ですよね。

相続放棄とは

そこで「相続放棄」という制度が用意されています。
その名のとおり、相続を放棄することができる制度です。

ここからが重要なところですが、
相続放棄の手続や要件は、法律できっちり決まっています。
ですから、一定の手続や要件に従わなければ、相続放棄はできません。

相続放棄の手続

方式

まず手続としては、
家庭裁判所に申述することが必要です(民法938条)。
相続放棄すると決めたら家庭裁判所に行ってください。

期間制限

次に期間制限があります。
期限は、相続の開始があったことを知ったときから「3カ月間」です(民法915条)。
3カ月間を経過してしまうと相続を承認したものとみなされて、
相続放棄は原則として認められなくなってしまうのです。
(ただし判例によって一定の要件を満たせば相続放棄が認められています。)

ですから相続は自分に関係ないと思っても、
念のため被相続人に借金がなかったかどうかも調べてみることをお勧めします。
そして資産よりも借金の方が多いことが判明したら、
なるべく早めに相続放棄の手続をとるようにしましょう。

関連条文

民法915条
  1. 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3カ月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において、伸長することができる。
  2. 相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。
民法921条
次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。
二 相続人が第915条の期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき