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本判決の位置付け

新設分割について、詐害行為取消権を行使して、権利の承継の効力を否定することができると判示しました。

事案の概要

債務者Aは、株式会社Yを新たに設立すること、AはYに不動産を含む特定の権利義務を承継させること、YがAにYの発行する株式の前部を割り当てることなどを内容とする新設分割計画を作成し、Yの設立の登記がされ、新設分割計画に基づく新設分割の効力が生じました。
新設分割によりYはAから一部の債務を承継し、Aは承継に係る債務について重畳的債務引受をしましたが、本件で問題となる保証債務は承継されませんでした。
Aは不動産以外には債務の引き当てとなるような資産をゆうしていなかったところ、本件新設分割が行われたことで、Aは、Yの株式以外にはほとんど資産を保有しない状態となってしまいました。
そこで、そこで、Aの債権者であるXが、不動産を新設分割によりXに承継させたことが詐害行為に当たるとして、詐害行為取消権に基づき、その取消しを求めました。

判決文(抜粋)

株式会社を設立する新設分割がされた場合において,新設分割設立株式会社にその債権に係る債務が承継されず,新設分割について異議を述べることもできない新設分割株式会社の債権者は,民法424条の規定により,詐害行為取消権を行使して新設分割を取り消すことができると解される。この場合においては,その債権の保全に必要な限度で新設分割設立株式会社への権利の承継の効力を否定することができるというべきである。