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本判決の位置づけ

ゴルフ場の経営に利用されている土地に係る地上権及び土地賃借権について、借地借家法11条の類推適用をする余地はないと判断したものです。

事案の概要

土地について所有権又は共有持分権を有するYは、昭和63年7月28日、Aとの間で本件土地の一部の土地について地上権設定契約を、その余の土地について賃貸借契約をそれぞれ締結しました(以下、これらの両契約を併せて「本件契約」といいます。)。本件契約では、地代等の金額のほか、ゴルフ場経営を目的とすることが定められました。
その後、本件契約の地上権者及び賃借人の地位は転々と譲渡され、Xは、Yの承諾を得て、平成18年9月1日、当該地位を取得しました。それ以来、Xは、本件土地を利用してゴルフ場を経営していました。
Xは、平成19年3月12日頃、Yに対し、本件契約の地代等の減額の意思表示をしました。
原審は、建物の所有を目的としない本件契約においても借地借家法11条1項及び3項ただし書の類推適用を認めるのが相当であるとして、Xの請求を一部認容しました。

判決文(抜粋)

借地借家法は、建物の所有を目的とする地上権及び土地の賃借権に関し特別の定めをするものであり(同法1条)、借地権を「建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権」と定義しており(同法2条1号)、同法の借地に関する規定は、建物の保護に配慮して、建物の所有を目的とする土地の利用関係を長期にわたって安定的に維持するために設けられたものと解される。同法11条の規定も、単に長期にわたる土地の利用関係における事情の変更に対応することを可能とするというものではなく、上記の趣旨により土地の利用に制約を受ける借地権設定者に地代等を変更する権利を与え、また、これに対応した権利を借地権者に与えるとともに、裁判確定までの当事者間の権利関係の安定を図ろうとするもので、これを建物の所有を目的としない地上権設定契約又は賃貸借契約について安易に類推適用すべきものではない。
本件契約においては、ゴルフ場経営を目的とすることが定められているにすぎないし、また、本件土地が建物の所有と関連するような態様で使用されていることもうかがわれないから、本件契約につき借地借家法11条の類推適用をする余地はないというべきである。

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