重要な判例・裁判例の紹介

最高裁令和元年8月9日第二小法廷判決 民法916条にいう「その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時」の意義
最高裁平成30年10月19日第二小法廷判決 共同相続人間においてされた無償による相続分の譲渡と民法903条1項に定める贈与
最高裁平成28年12月19日大法廷決定 共同相続された普通預金債権、通常貯金債権及び定期貯金債権は、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく、遺産分割の対象となる
最高裁平成28年6月3日第二小法廷判決 遺言書に花押を書いても押印とは認められない
最高裁平成28年2月26日第二小法廷判決 相続の開始後に認知された者が価額の支払を請求する場合における遺産の価額算定の基準時と支払債務が履行遅滞に陥る時期
最高裁平成25年11月29日第二小法廷判決 共有物について遺産共有持分と他の共有持分とが併存する場合における共有物分割と遺産分割の関係
最高裁平成27年11月20日第二小法廷判決 遺言者が自筆証書である遺言書の文面全体に故意に斜線を引く行為が、民法1024条前段所定の「破棄」に該当し遺言を撤回したものとみなされた事例
最高裁平成26年3月14日第二小法廷判決 成年後見開始の審判と遺留分減殺請求権の消滅時効
最高裁平成26年2月25日第三小法廷判決 共同相続された委託者指図型投資信託の受益権及び個人向け国債は、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはない
最高裁平成26年2月14日第二小法廷判決 自己の相続分の全部を譲渡した者の遺産確認の訴えにおける当事者適格
最高裁平成25年9月13日第二小法廷判決 保証人が主たる債務を相続したことを知りながらした保証債務の弁済と時効中断の効力
最高裁平成25年9月4日大法廷決定 民法900条4号ただし書前段の規定の憲法14条1項適合性
最高裁平成24年1月26日第一小法廷決定 相続分の指定と遺留分減殺請求
平成23年2月22日最高裁第三小法廷判決 「相続させる」遺言により相続するものとされた推定相続人が、遺言者よりも先に死亡した場合における代襲相続の可否
平成21年3月24日最高裁第三小法廷判決 財産全部を相続させる旨の遺言がされた場合における債務の承継と遺留分の侵害額の算定
最高裁平成21年1月22日第一小法廷判決 預金者の共同相続人の一人は、被相続人名義の預金口座の取引経過の開示を求める権利を単独で行使することができる
最高裁平成17年10月11日第三小法廷決定 遺産分割未了の間に第二次の相続が開始した場合において、第二次被相続人から特別受益を受けた者があるときの持戻しの要否
最高裁平成17年9月8日第一小法廷判決 共同相続に係る不動産から生ずる賃料債権の帰属と後にされた遺産分割の効力
最高裁平成16年10月29日第二小法廷決定 共同相続人の一人又は一部の者を保険金受取人とする養老保険契約に基づく死亡保険金請求権と特別受益
最高裁平成14年11月5日第一小法廷判決 自己を被保険者とする生命保険契約の契約者が死亡保険金の受取人を変更する行為と民法1031条に規定する遺贈又は贈与
最高裁平成14年6月10日第二小法廷判決 「相続させる」趣旨の遺言によって取得した不動産又は共有持分権は、登記なくして第三者に対抗することができる
最高裁平成13年11月22日第一小法廷判決 遺留分減殺請求権を債権者代位の目的とすることの可否
最高裁平成12年7月11日第三小法廷判決 遺留分減殺の対象とされた贈与等の目的たる各個の財産について、価額弁償をすることの可否
最高裁平成12年2月24日第一小法廷判決 民法903条1項により算定される具体的相続分の価額又は割合の確認を求める訴えは、確認の利益を欠くものとして不適法である
最高裁平成11年6月24日第一小法廷判決 遺留分減殺の対象としての要件を満たす贈与に基づき目的物を占有した者の取得時効の援用と減殺請求による遺留分権利者への当該目的物についての権利の帰属
最高裁平成11年6月11日第二小法廷判決 遺産分割協議と詐害行為取消権
最高裁平成11年1月21日第一小法廷判決 相続債権者は、被相続人から抵当権の設定を受けていても、被相続人の死亡前に仮登記がされていた場合を除き、相続財産法人に対して抵当権設定登記手続を請求することができない
最高裁平成10年6月11日第一小法廷判決 遺産分割協議の申入れに遺留分減殺の意思表示が含まれていると解すべき場合
最高裁平成10年3月24日第三小法廷判決 民法903条1項の定める相続人に対する贈与と遺留分減殺の対象
最高裁平成10年2月26日第一小法廷判決 相続人に対する遺贈が遺留分減殺の対象となる場合においては、遺贈の目的の価額のうち受遺者の遺留分額を超える部分のみが、民法1034条にいう目的の価額に当たる
最高裁平成10年2月13日第二小法廷判決 限定承認をした相続人が死因贈与による不動産の取得を相続債権者に対抗することの可否
最高裁平成9年9月12日第二小法廷判決 遺言者に相続人は存在しないが相続財産全部の包括受遺者が存在する場合は、民法951条にいう「相続人のあることが明かでないとき」に当たらない
最高裁平成9年2月25日第三小法廷判決 遺留分権利者からの不動産の持分移転登記手続請求訴訟において、受遺者が裁判所が定めた価額による価額弁償の意思表示をした場合における判決主文
最高裁平成9年1月28日第三小法廷判決 相続に関して不当な利益を目的とするものでない遺言書の破棄又は隠匿行為と相続欠格者の該当性
最高裁平成8年12月17日第三小法廷判決 共同相続人の一人が被相続人の許諾を得て遺産である建物に被相続人と同居してきたときは、同居の相続人にこれを無償で使用させる旨の合意があったものと推認される
最高裁平成8年11月26日第三小法廷判決 被相続人が相続開始時に債務を有していた場合における遺留分の侵害額の算定
最高裁平成7年3月7日第三小法廷判決 特定の財産が特別受益財産であることの確認を求める訴えは、確認の利益を欠くものとして不適法である
最高裁平成5年7月19日第二小法廷判決 遺言により法定相続分を下回る相続分を指定された共同相続人が、法定相続分に応じた相続登記がされたことを利用して持分を譲渡しても、第三取得者が取得する持分は指定相続分に応じた持分にとどまる
最高裁平成5年1月19日第三小法廷判決 受遺者の選定を遺言執行者に委託する旨の遺言が有効とされた事例
最高裁平成3年4月19日第二小法廷判決 特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」趣旨の遺言の解釈と、遺産分割協議又は審判の要否
最高裁平成2年10月18日第一小法廷判決 公営住宅の入居者が死亡した場合、その相続人は当該公営住宅を使用する権利を承継しない
最高裁平成2年9月27日第一小法廷判決 遺産分割協議の合意解除と再分割協議の可否
最高裁平成元年11月24日第二小法廷判決 共有者の一人が死亡し、相続人の不存在が確定し、相続債権者や受遺者に対する清算手続が終了したときは、その持分は、特別縁故者に対する財産分与の対象となり、財産分与がされないときに、民法255条により他の共有者に帰属する
最高裁平成元年3月28日第三小法廷判決 遺産確認の訴えは、固有必要的共同訴訟と解する
最高裁平成元年2月9日第一小法廷判決 遺産分割協議が成立した場合に、相続人の一人が協議において負担した債務を履行しないときであっても、民法541条によって協議を解除することができない
最高裁平成元年2月8日第一小法廷判決 自筆遺言証書における押印は、指印をもって足りる
最高裁昭和63年6月21日第三小法廷判決 再転相続人がした第一次相続についての相続放棄の効力
最高裁昭和62年10月8日第一小法廷判決 運筆について他人の添え手による補助を受けてされた自筆証書遺言と民法968条1項の「自書」の要件
最高裁昭和62年9月4日第三小法廷判決 遺産相続により相続人の共有となった財産の分割については、家事審判法の定めるところに従い、家庭裁判所が審判によってこれを定める
最高裁昭和62年4月23日第一小法廷判決 遺言執行者がある場合には、相続人が遺贈の目的物についてした処分行為は無効である
最高裁昭和61年3月20日第一小法廷判決 民法921条3号にいう相続財産には相続債務も含まれる
最高裁昭和61年3月13日第一小法廷判決 特定の財産が被相続人の遺産に属することの確認を求める訴えは、適法である
最高裁昭和59年4月27日第二小法廷判決 民法915条1項所定の熟慮期間について相続人が相続財産の全部若しくは一部の存在を認識した時又は通常これを認識しうべかりし時から起算するのが相当であるとされる場合
最高裁昭和57年3月4日第一小法廷判決 遺留分減殺請求権行使の効果として生じた目的物の返還請求権等は、民法1042条所定の消滅時効に服しない
最高裁昭和56年12月18日第二小法廷判決 自筆証書遺言における明らかな誤記の訂正については、民法968条2項所定の方式の違背があっても、遺言の効力に影響を及ぼさない
最高裁昭和56年4月3日第二小法廷判決 遺言書又はその訂正が方式を欠き無効である場合に、方式を具備させて有効な遺言書又はその訂正としての外形を作出する行為と相続欠格者の該当性
最高裁昭和55年11月27日第一小法廷判決 死亡退職金の受給権は、受給権者である遺族が自己固有の権利として取得し、相続財産に属さないとされた事例
最高裁昭和54年5月31日第一小法廷判決 自筆遺言証書の日付として「吉日」と記載された証書は、民法968条1項にいう日付の記載を欠くものとして無効である
最高裁昭和53年12月20日大法廷判決 共同相続人の一人によって相続権を侵害された他の共同相続人が侵害の排除を求める場合における民法884条の適用
最高裁昭和51年8月30日第二小法廷判決 遺留分権利者が価額弁償を請求する訴訟における贈与又は遺贈の目的物の価額算定の基準時は、事実審口頭弁論終結の時である
最高裁昭和51年7月19日第二小法廷判決 相続人が遺言の執行としてされた遺贈による所有権移転登記の抹消登記手続を求める訴えについては、遺言執行者がある場合でも、受遺者を被告とすべきである
最高裁昭和51年3月18日第一小法廷判決 相続人が被相続人から贈与された金銭を特別受益として遺留分算定の基礎となる財産の価額に加える場合と受益額算定の方法
最高裁昭和50年11月7日第二小法廷判決 共同相続人の一部から遺産を構成する特定不動産の共有持分権を譲り受けた第三者が当該共有関係の解消を求める方法として裁判上とるべき手続は、遺産分割審判ではなく、共有物分割訴訟である
最高裁昭和50年10月24日第二小法廷判決 特別縁故者に分与されなかった相続財産の国庫帰属の時期及び相続財産管理人の代理権消滅の時期
最高裁昭和49年9月20日第二小法廷判決 相続の放棄は詐害行為取消権行使の対象とならない
最高裁昭和48年6月29日第二小法廷判決 保険金受取人の指定のないときは保険金を被保険者の相続人に支払う旨の約款の条項は、保険金受取人の指定と同視できる
最高裁昭和46年1月26日第三小法廷判決 相続財産中の不動産につき、遺産分割により権利を取得した相続人は、登記を経なければ、分割後に当該不動産につき権利を取得した第三者に対し、法定相続分をこえる権利の取得を対抗することができない
最高裁昭和45年5月22日第二小法廷判決 不動産の賃借人が賃貸人の相続人に対して賃借権の確認を求める訴訟は、相続人が数人あるときでも、必要的共同訴訟ではない
最高裁昭和44年4月17日第一小法廷判決 不動産について、被相続人との間に締結された契約上の義務の履行として、所有権移転登記手続を求める訴訟は、その相続人が数人いるときでも、必要的共同訴訟ではない
最高裁昭和43年5月31日第二小法廷判決 遺言執行者がある場合においては、特定不動産の受遺者から所有権移転登記手続を求める訴の被告適格を有する者は、遺言執行者に限られ、相続人はその適格を有しない
最高裁昭和43年3月15日第二小法廷判決 土地の所有権に基づき、当該土地上にある建物の共有者に対し、建物の収去及び土地の明渡しを求める訴えは、必要的共同訴訟ではない
最高裁昭和42年8月25日第二小法廷判決 使用貸借の貸主が数名あるとき、各貸主は、使用貸借の終了に基づき、総貸主のため家屋全部の明渡を請求することができる
最高裁昭和42年4月27日第一小法廷判決 民法921条1号本文による単純承認の効果が生ずるためには、相続人が自己のために相続の開始した事実を知りまたは確実視しながら相続財産を処分したことを要する
最高裁昭和42年1月20日第二小法廷判決 相続の放棄は、登記等の有無をとわず、何人に対してもその効力を生ずる
最高裁昭和41年7月14日第一小法廷判決 遺留分権利者の減殺請求権の性質
最高裁昭和41年5月19日第一小法廷判決 共有物の持分の価格が過半数をこえる者が、共有物を単独で占有する他の共有者に対して、当然には、その共有物の明渡請求をすることはできない
最高裁昭和41年3月2日大法廷決定 遺産の分割に関する処分の審判の前提となる権利関係の存否を審判中で審理判断することの可否
最高裁昭和40年2月2日第三小法廷判決 保険金受取人を「被保険者死亡の場合はその相続人」と指定したときの養老保険契約における保険金請求権の帰属
最高裁昭和39年3月6日第二小法廷判決 遺贈の場合も登記をもって物権変動の対抗要件とする
最高裁昭和39年2月25日第三小法廷判決 共同相続人が相続財産である不動産を目的とする賃貸借を解除するときは、過半数で決する
最高裁昭和38年2月22日第二小法廷判決 共同相続した不動産につき相続人の一人が勝手に単独所有権取得の登記をし、その者から第三取得者が移転登記を受けた場合、他の共同相続人は、第三取得者に対し、自己の持分を登記なくして対抗できる
最高裁昭和37年11月9日第二小法廷判決 継続的取引について将来負担する事のあるべき債務についてした責任の限度額及び期間の定めのない連帯保証契約における保証人たる地位の相続性
最高裁昭和36年12月15日第二小法廷判決 不動産の買主が、売主の相続人に対し、所有権移転登記を求める訴訟は、売主の相続人が数人いるときでも、必要的共同訴訟ではない
最高裁昭和36年6月22日第一小法廷判決 自筆遺言書は、数葉にわたるときでも一通の遺言書として作成されているときは、その日付、署名及び捺印は一葉にされるをもって足りる
最高裁昭和34年6月19日第二小法廷判決 連帯債務者の一人が死亡し、その相続人が数人ある場合に、相続人らは、被相続人の債務の分割されたものを承継し、各自その承継した範囲において、本来の債務者とともに連帯債務者となる
最高裁昭和31年5月10日第一小法廷判決 不動産共有者の一人は、その持分権に基づき、単独で当該不動産につき登記簿上所有名義を有する者に対し、その登記の抹消を請求することができる
最高裁昭和30年5月31日第三小法廷判決 相続財産の共有の性質
最高裁昭和29年12月24日第三小法廷判決 相続の放棄に法律上無効原因の存する場合には後日訴訟においてこれを主張することを妨げない
最高裁昭和29年4月8日第一小法廷判決 相続人数人ある場合において、相続財産中に可分債権あるときは、その債権は法律上当然に分割され、各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継する