本判決の位置付け
相続分の指定が遺留分減殺請求により減殺された場合の効果、特別受益に当たる贈与についてされた持戻し免除の意思表示が遺留分減殺請求により減殺された場合における具体的相続分の算定方法について判断したものです。
事案の概要
被相続人は、相続人Y1の相続分を2分の1、相続人Xの相続分を0、その他の相続人2名の相続分を各4分の1と指定する公正証書遺言をしました。
また、被相続人は、相続人Y2に対して、生計の資本として、株式、現金、預貯金等の贈与をするとともに、贈与された財産の価額を相続財産に算入することを要しない、いわゆる持戻し免除の意思表示をしました。
被相続人の死亡後、相続人Xは、他の相続人らに対して、遺留分減殺請求権を行使する旨の意思表示をしました。
争点
・相続分の指定が遺留分減殺請求により減殺された場合の効果
・特別受益に当たる贈与についてされた持戻し免除の意思表示が遺留分減殺請求により減殺された場合における具体的相続分の算定方法
判決文(抜粋)
遺留分減殺請求により相続分の指定が減殺された場合には,遺留分割合を超える相続分を指定された相続人の指定相続分が,その遺留分割合を超える部分の割合に応じて修正されるものと解するのが相当である。
遺留分減殺請求により特別受益に当たる贈与についてされた持戻し免除の意思表示が減殺された場合,持戻し免除の意思表示は,遺留分を侵害する限度で失効し,当該贈与に係る財産の価額は,上記の限度で,遺留分権利者である相続人の相続分に加算され,当該贈与を受けた相続人の相続分から控除されるものと解するのが相当である。