- 民法第354条
- 動産質権者は、その債権の弁済を受けないときは、正当な理由がある場合に限り、鑑定人の評価に従い質物をもって直ちに弁済に充てることを裁判所に請求することができる。この場合において、動産質権者は、あらかじめ、その請求をする旨を債務者に通知しなければならない。
条文の趣旨と解説
動産質権者は質物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有するところ(342条)、動産質権者が優先弁済を受けるための方法としては、動産競売(民事執行法190条1項1号)によって換価する方法があります。
本条は、この動産競売による方法以外の方法として、簡易な弁済充当の手続を規定します。すなわち、動産質権者は、正当な理由がある場合に、鑑定人の評価に従い質物をもって直ちに弁済に充てることを裁判所に請求することができます(本条前段)。簡易な弁済充当による場合は、動産質権者は、あらかじめ、その請求をする旨を債務者に通知しなければなりません(本条後段)。
条文の位置付け
- 民法
- 物権
- 質権
- 動産質
- 民法第352条 – 動産質の対抗要件
- 民法第353条 – 質物の占有の回復
- 民法第354条 – 動産質権の実行
- 民法第355条 – 動産質権の順位
- 動産質
- 質権
- 物権