- 借地借家法第19条
- 借地権者が賃借権の目的である土地の上の建物を第三者に譲渡しようとする場合において、その第三者が賃借権を取得し、又は転借をしても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。この場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、賃借権の譲渡若しくは転貸を条件とする借地条件の変更を命じ、又はその許可を財産上の給付に係らしめることができる。
- 裁判所は、前項の裁判をするには、賃借権の残存期間、借地に関する従前の経過、賃借権の譲渡又は転貸を必要とする事情その他一切の事情を考慮しなければならない。
- 第一項の申立てがあった場合において、裁判所が定める期間内に借地権設定者が自ら建物の譲渡及び賃借権の譲渡又は転貸を受ける旨の申立てをしたときは、裁判所は、同項の規定にかかわらず、相当の対価及び転貸の条件を定めて、これを命ずることができる。この裁判においては、当事者双方に対し、その義務を同時に履行すべきことを命ずることができる。
- 前項の申立ては、第一項の申立てが取り下げられたとき、又は不適法として却下されたときは、その効力を失う。
- 第三項の裁判があった後は、第一項又は第三項の申立ては、当事者の合意がある場合でなければ取り下げることができない。
- 裁判所は、特に必要がないと認める場合を除き、第一項又は第三項の裁判をする前に鑑定委員会の意見を聴かなければならない。
- 前各項の規定は、転借地権が設定されている場合における転借地権者と借地権設定者との間について準用する。ただし、借地権設定者が第三項の申立てをするには、借地権者の承諾を得なければならない。
条文の趣旨と解説
賃借地上の建物が譲渡された場合には、通常、建物の所有権とともにその敷地の賃借権も譲渡されたものと解されます(最高裁昭和47年3月9日第一小法廷判決)。
しかし、賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲渡し、又は賃借物を転貸することはできず(民法612条1項)、賃借人が、賃貸人の承諾を得ずに、第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、特段の事情がない限り、賃貸人は、賃貸借契約を解除することが認められています(民法612条2項)。
もっとも、借地権者に建物及び賃借権の譲渡による投下資本回収の道を確保することが望ましいといえることから、本条は、裁判所が、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる旨を定めています(本条1項)。
借地権設定者の「介入権」
賃借権譲渡許可の申立てがあった場合において、裁判所が定める期間内に借地権設定者が自ら建物の譲渡及び賃借権の譲渡又は転貸を受ける旨の申立てをしたときは、裁判所は、相当の対価及び転貸の条件を定めて、借地権設定者に建物の譲渡及び賃借権の譲渡又は転貸をすることを命ずることができます(本条3項前段)。この場合、裁判所は、当事者双方に対し、その義務を同時に履行すべきことを命ずることができます(本条3項後段)。条文の位置付け
- 借地借家法
- 借地
- 借地条件の変更等
- 借地借家法第17条 - 借地条件の変更及び増改築の許可
- 借地借家法第18条 - 借地契約の更新後の建物の再築の許可
- 借地借家法第19条 - 土地の賃借権の譲渡又は転貸の許可
- 借地借家法第20条 - 建物競売等の場合における土地の賃借権の譲渡の許可
- 借地借家法第21条 - 強行規定
- 借地条件の変更等
- 借地