借地借家法第14条

第三者が賃借権の目的である土地の上の建物その他借地権者が権原によって土地に附属させた物を取得した場合において、借地権設定者が賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、その第三者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原によって土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。

借地法(旧法)第10条
第三者カ賃借権ノ目的タル土地ノ上ニ存スル建物其ノ他借地権者カ権原ニ因リテ土地ニ附属セシメタル物ヲ取得シタル場合ニ於テ賃貸人カ賃借権ノ譲渡又ハ転貸ヲ承諾セサルトキハ賃貸人ニ対シ時価ヲ以テ建物其ノ他借地権者カ権原ニ因リテ土地ニ附属セシメタル物ヲ買取ルヘキコトヲ請求スルコトヲ得

条文の趣旨と解説

賃借地上の建物が譲渡された場合には、通常、建物の所有権とともにその敷地の賃借権も譲渡されたものと解されます(最高裁昭和47年3月9日第一小法廷判決)。
しかし、賃貸人の承諾又は承諾に代わる許可の裁判(借地借家法19条1項)がない限り、譲受人は賃借権の取得を賃貸人に対抗することができず(民法612条1項)、賃貸人からの請求があれば、譲受人は建物を収去して土地を明け渡さなければなりません。
そこで、建物の取壊しという社会経済上の不都合を回避するため、本条の建物買取請求権が規定されました。また、賃借地上の建物の売却を可能とすることにより、賃借人が建物のために投下した費用の回収を実現できるという機能も有しています。

条文の位置付け