本判決の内容(抜粋)

最高裁昭和36年6月22日第一小法廷判決
 遺言書が数葉にわたるときであっても、その数葉が一通の遺言書として作成されたものであることが確認されれば、その一部に日附、署名、捺印が適法になされている限り、右遺言書を有効と認めて差支えないと解するを相当とする。

前提知識と簡単な解説

遺言の方式について

遺言者の真意を確保するため、遺言は、民法が定める厳格な方式に従うことを要します(民法960条)。

遺言は、特別な場合を除いては(民法967条ただし書)、自筆証書、公正証書又は秘密証書によってしなければなりません(民法967条本文)。自筆証書遺言は、遺言者がその全文、日付及び氏名を自書し、これに押印しなければなりません(民法968条1項)。

本判決の意義

遺言書が複数の葉にわたって作成されているときに、各葉ごとに日付、氏名を自書し押印することを要するかどうかという問題について、本判決は、「遺言書が数葉にわたるときであっても、その数葉が一通の遺言書として作成されたものであることが確認されれば、その一部に日附、署名、捺印が適法になされている限り、右遺言書を有効と認めて差支えない」と判示しました。