民法第1025条
前3条の規定により撤回された遺言は、その撤回の行為が、撤回され、取り消され、又は効力を生じなくなるに至ったときであっても、その効力を回復しない。ただし、その行為が錯誤、詐欺又は強迫による場合は、この限りでない。
平成30年改正前民法第1025条
前3条の規定により撤回された遺言は、その撤回の行為が、撤回され、取り消され、又は効力を生じなくなるに至ったときであっても、その効力を回復しない。ただし、その行為が詐欺又は強迫による場合は、この限りでない。

条文の趣旨と解説

遺言の撤回行為が、さらに撤回され、取り消され、又は効力を生じなくなるに至った場合、前の遺言が復活するか否かについて、民法は、前の遺言は復活しないと定めました(本条本文)。これは、遺言の撤回行為が撤回されたとしても、前の遺言の意思に還る趣旨であるかどうかが断定しにくいからであると考えられています(中川善之助『相続法』)。
ただし、遺言の撤回行為が、錯誤、詐欺又は強迫による場合は、遺言の撤回行為が遺言者の真意によるものではないことが明らかであることから、前の遺言は復活するものとされています(本条ただし書)。

条文の位置付け