民法第398条
地上権又は永小作権を抵当権の目的とした地上権者又は永小作人は、その権利を放棄しても、これをもって抵当権者に対抗することができない。

条文の趣旨と解説

権利の性質に反しない限り、権利者において権利を放棄することは原則として自由とされていますが、この権利を基本として存立している権利を第三者が有する場合においても自由な放棄を認めると、第三者の権利がその基本を失う結果、第三者が不測の損害を被ることになります。
そこで、本条は、地上権又は永小作権を抵当権の目的とした場合(369条2項)において、地上権者又は小作人がその権利を放棄しても、これをもって抵当権者には対抗することができないものとしています。

さらに、判例は、借地権者が借地上の建物に対して抵当権を設定した場合において、借地権者が借地権を放棄しても、抵当権者には対抗することができないとしています(大審院大正11年11月24日判決)。

条文の位置付け