- 民法第344条
- 質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって、その効力を生ずる。
条文の趣旨と解説
本条の文言から、通説は、質権設定契約は要物契約であり、目的物の引渡しが質権設定契約の成立要件であるとしています。もっとも、将来質権を設定しようという合意も当事者を拘束するから要物性を強調する必要はなく、目的物の引渡しは質権を完全に成立させるための要件であるという見解も有力です(鈴木禄弥『物権法講義五訂版』)。
本条の引渡しは、現実の引渡し(182条1項)に限らず、簡易の引渡し(182条2項)、指図による占有移転(184条)であっても差し支えありませんが、占有改定(183条)は該当しないとされています(345条)。