民法第185条
権原の性質上占有者に所有の意思がないものとされる場合には、その占有者が、自己に占有をさせた者に対して所有の意思があることを表示し、又は新たな権原により更に所有の意思をもって占有を始めるのでなければ、占有の性質は、変わらない。

条文の趣旨と解説

所有の意思をもってする占有を「自主占有」といい、それ以外の占有を「他主占有」といいます。自主占有か他主占有かの違いは、取得時効(162条)、占有者による損害賠償(191条)、無主物の先占(239条)などに影響します。
所有の意思の有無は、占有取得の原因である権原又は占有に関する事情によって外形的客観的に定まるものと解されています(最高裁昭和45年6月18日第一小法廷判決、最高裁昭和47年9月8日第二小法廷判決)。
本条は、他主占有が自主占有への転換が認められる要件として、(1) 自己に占有をさせた者に対して所有の意思があることを表示すること、又は、(2) 新たな権原により更に所有の意思をもって占有を始めること、を定めています。

条文の位置付け