- 民法第587条
- 消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。
条文の趣旨と解説
消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還することを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生じます。金銭等の交付があって初めて成立する要物契約とされています。
平成29年民法(債権関係)改正
実際には、貸付金の授受の前に、抵当権の設定等を含む貸付の証書が作成されることが多く行われており、このような現実の社会的要請からも、諾成的消費貸借契約に法的拘束力を認める必要が指摘されていました。
もっとも、合意のすべてに法的拘束力を認めてしまうと、安易に貸借の約束をした者に酷な結果となるおそれがあります。
そこで、平成29年民法(債権関係)改正においては、要物性を定める本条の規定は維持しつつ、587条の2を新設し、諾成的な消費貸借の成立要件を定めることとされました。