民法第465条の3
  1. 個人根保証契約であってその主たる債務の範囲に金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることによって負担する債務(以下「貸金等債務」という。)が含まれるもの(以下「個人貸金等根保証契約」という。)において主たる債務の元本の確定すべき期日(以下「元本確定期日」という。)の定めがある場合において、その元本確定期日がその個人貸金等根保証契約の締結の日から5年を経過する日より後の日と定められているときは、その元本確定期日の定めは、その効力を生じない。
  2. 個人貸金等根保証契約において元本確定期日の定めがない場合(前項の規定により元本確定期日の定めがその効力を生じない場合を含む。)には、その元本確定期日は、その個人か資金等根保証契約の締結の日から3年を経過する日とする。
  3. 個人貸金等根保証契約における元本確定期日の変更をする場合において、変更後の元本確定期日がその変更をした日から5年を経過する日より後の日となるときは、その元本確定期日の変更は、その効力を生じない。ただし、元本確定期日の前2箇月以内に元本確定期日の変更をする場合において、変更後の元本確定期日が変更前の元本確定期日から5年以内の日となるときは、この限りでない。
  4. 第446条第2項及び第3項の規定は、個人貸金等根保証契約における元本確定期日の定め及びその変更(その個人貸金等根保証契約の締結の日から3年以内の日を元本確定期日とする旨の定め及び元本確定期日より前の日を変更後の元本確定期日とする変更を除く。)について準用する。
平成29年改正前民法第465条の3
  1. 貸金等根保証契約において主たる債務の元本の確定すべき期日(以下「元本確定期日」という。)の定めがある場合において、その元本確定期日がその貸金等根保証契約の締結の日から5年を経過する日より後の日と定められているときは、その元本確定期日の定めは、効力を生じない。
  2. 貸金等根保証契約において元本確定期日の定めがない場合(前項の規定により元本確定期日の定めがその効力を生じない場合を含む。)には、その元本確定期日は、その貸金等根保証契約の締結の日から3年を経過する日とする。
  3. 貸金等根保証契約における元本確定期日の変更をする場合において、変更後の元本確定期日がその変更をした日から5年を経過する日より後の日となるときは、その元本確定期日の変更は、その効力を生じない。ただし、元本確定期日の前2箇月以内に元本確定期日の変更をする場合において、変更後の元本確定期日が変更前の元本確定期日から5年以内の日となるときは、この限りでない。
  4. 第446条第2項及び第3項の規定は、貸金等根保証契約における元本確定期日の定め及びその変更(その貸金等根保証契約の締結の日から3年以内の日を元本確定期日とする旨の定め及び元本確定期日より前の日を変更後の元本確定期日とする変更を除く。)について準用する。

条文の趣旨と解説

個人貸金等根保証契約において元本確定期日を定める場合、契約締結日から5年を経過する日より後の日を元本確定期日と定めた場合、元本確定期日の定めは無効となります(本条1項)。
元本確定期日の定めがされていない又は定めが無効とされる場合には、契約締結の日から3年を経過する日が元本確定期日とされます(本条2項)。
元本確定期日を変更する場合、変更後の元本確定期日がその変更をした日から5年を経過する日より後の日となるときは、その元本確定期日の変更は無効となります(本条3項本文)。ただし、元本確定期日の前2箇月以内に元本確定期日の変更をする場合において、変更後の元本確定期日が変更前の元本確定期日から5年以内になるときは、有効とされます(本条ただし書)。
元本確定期日の定め及び変更は、書面等によりしなければなりません。ただし、契約締結日から3年以内の日を元本確定期日とする場合及び当初の元本確定期日より前の日を変更後の元本確定期日と変更する場合を除きます(本条4項)。

平成29年民法改正における議論

平成29年民法(債権関係)改正では、保証人保護を拡充する観点から、それまで貸金等債務を含む根保証のみを対象としていた規律(465条の2及び465条の4)について、その適用範囲を貸金等債務を含まない根保証に拡大する方向での改正が行われました(465条の2の解説参照)。
本条に定める元本確定期日の規律についても、貸金等債務を含まない根保証契約にも及ぼすべきかどうかが議論されましたが、たとえば更新が原則とされる建物賃貸借契約では、賃貸借契約が継続しているにもかかわらず根保証のみが終了するのは妥当でない等の指摘があり、本条の適用対象は個人貸金等根保証契約に限定されることとなりました。

条文の位置付け