民法第465条の5
  1. 保証人が法人である根保証契約において、第465条の2第1項に規定する極度額の定めがないときは、その根保証契約の保証人の主たる債務者に対する求償権に係る債務を主たる債務とする保証契約は、その効力を生じない。
  2. 保証人が法人である根保証契約であってその主たる債務の範囲に貸金等債務が含まれるものにおいて、元本確定期日の定めがないとき、又は元本確定期日の定め若しくはその変更が第465条の3第1項若しくは第3項の規定を適用するとすればその効力を生じないものであるときは、その根保証契約の保証人の主たる債務者に対する求償権に係る債務を主たる債務とする保証契約は、その効力を生じない。主たる債務の範囲にその求償権に係る債務が含まれる根保証契約も、同様とする。
  3. 前2項の規定は、求償権に係る債務を主たる債務とする保証契約又は主たる債務の範囲に求償権に係る債務が含まれる根保証契約の保証人が法人である場合には、適用しない。
平成29年改正前民法第465条の5
保証人が法人である根保証契約であってその主たる債務の範囲に貸金等債務が含まれるものにおいて、第465条の2第1項に規定する極度額の定めがないとき、元本確定期日の定めがないとき、又は元本確定期日の定め若しくはその変更が第465条の3第1項若しくは第3項の規定を適用するとすればその効力を生じないものであるときは、その根保証契約の保証人の主たる債務者に対する求償権についての保証契約(保証人が法人であるものを除く。)は、その効力を生じない。

条文の趣旨と解説

保証人において責任の上限を予測可能なものとするため、民法は個人根保証契約に対して一定の規律を設けています(465条の2の解説を参照)。具体的には、極度額の定めのない個人根保証契約は無効であり(465条の2第2項)、また個人貸金等根保証契約については元本確定期日の定めにも一定の制限が設けられています(465条の3)。
これらの規定は、保証人が法人である根保証契約には適用されません。しかし、保証人である法人が根保証契約を締結し、当該法人が主たる債務者に対して取得する求償権について個人が保証契約を締結するような場合には、その個人は過大な責任を負うおそれがあります。

そこで、保証人が法人である根保証契約において、極度額の定めがないときは、その根保証契約の保証人の主たる債務者に対する求償権に係る債務を主たる債務とする保証契約は、効力を生じないものとされます(本条1項)。

また、保証人が法人である根保証契約であってその主たる債務の範囲に貸金等債務が含まれるものにおいて、元本確定期日の定めがないとき、元本確定期日がその根保証契約の締結の日から5年を経過する日より後の日と定められているとき、又は元本確定期日の変更が465条の3第3項の規定に反するときは、その根保証契約の保証人の主たる債務者に対する求償権に係る債務を主たる債務とする保証契約は、効力を生じないものとされています(本条2項前段)。主たる債務の範囲にその求償権に係る債務が含まれる根保証契約も同様です(本条2項後段)。

条文の位置付け