民法第513条
当事者が従前の債務に代えて、新たな債務であって次に掲げるものを発生させる契約をしたときは、従前の債務は、更改によって消滅する。
一 従前の給付の内容について重要な変更をするもの
二 従前の債務者が第三者と交替するもの
三 従前の債権者が第三者と交替するもの
平成29年改正前民法第513条
  1. 当事者が債務の要素を変更する契約をしたときは、その債務は、更改によって消滅する。
  2. 条件付債務を無条件債務としたとき、無条件債務に条件を付したとき、又は債務の条件を変更したときは、いずれも債務の要素を変更したものとみなす。

条文の趣旨と解説

更改は、新債務を成立させることによって、旧債務を消滅させる契約です。

改正前民法513条は更改の要件として「要素を変更する契約」と定めていました。そして改正前民法下における解釈によれば、要素の変更とは、債権の目的の変更、債権者の交替及び債務者の交替を意味すると解されていました。

また、更改は、旧債務の消滅という重大な効果を発生しうるものです。そこで、客観的要件に加えて、当事者の更改意思が明確であることが必要であると解されていました(大審院昭和7年10月27日判決)。

改正民法は、以上の一般的理解を明文化しています(『民法(債権関係)の改正に関する中間試案の補足説明』、部会資料69A)。

条文の位置付け