民法第884条
相続回復の請求権は、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から20年を経過したときも、同様とする。

条文の趣旨と解説

相続回復請求権の内容を明らかにする民法の規定はありませんが、一般的には「相続を権原(原因)として相続人に帰属する個別の物権的請求権および対人的権利の集合体」(個別的請求権説)と考えられています(潮見佳男『新注釈民法(19)』)。この見解によれば、本条は、相続に関する争いをなるべく長期化しないために、短期の消滅時効を定め、物権的請求権の行使期間に制限を加えるものと解されます。