民法第366条
  1. 質権者は、質権の目的である債権を直接に取り立てることができる。
  2. 債権の目的物が金銭であるときは、質権者は、自己の債権額に対応する部分に限り、これを取り立てることができる。
  3. 前項の債権の弁済期が質権者の債権の弁済期前に到来したときは、質権者は、第三債務者にその弁済をすべき金額を供託させることができる。この場合において、質権は、その供託金について存在する。
  4. 債権の目的物が金銭でないときは、質権者は、弁済として受けた物について質権を有する。

条文の趣旨と解説

債権質について優先弁済権を実現する方法としては、民事執行法の定める担保執行の手続(民事執行法193条、143条以下)に従う方法があります。

さらに、民法は、より簡易な実行手段として、質権者自らが第三債務者から直接取り立てることを認めています(本条1項)。
すなわち、質権の目的が金銭であり、かつ被担保債権の弁済期が到来している場合には、被担保債権の範囲内で第三債務者から取り立てることができます(本条2項)。被担保債権の弁済期が到来していない場合には、質権者は、第三債務者に対して、供託を請求することができ、質権は、その供託金還付請求権上に存続することになります(本条3項)。
質権の目的が金銭でない場合は、その物の引渡しを請求することができ、質権は、その引渡しを受けた物の上に存続することになります(本条4項)。

条文の位置付け