- 借地借家法第1条
この法律は、建物の所有を目的とする地上権及び土地の賃借権の存続期間、効力等並びに建物の賃貸借の契約の更新、効力等に関し特別の定めをするとともに、借地条件の変更等の裁判手続に関し必要な事項を定めるものとする。
条文の趣旨と解説
借地借家法は、建物の所有を目的とする地上権及び土地の賃借権の存続期間、効力等並びに建物の賃貸借の契約の更新、効力等に関し、民法の規定に対する特別の定めを設けることを目的としています。また、あわせて、借地条件の変更等の裁判手続に関し、必要な事項を定めています。
借地借家法の制定の経緯
平成3年、建物保護に関する法律、借地法及び借家法が廃止され、これらを引き継ぐ法律として借地借家法が制定され、平成4年8月1日に施行されました。廃止された各法律の概要及び制定当時の立法目的は次のとおりです。建物保護に関する法律
民法は、債権である賃借権についても、これを登記したときは、第三者に対する対抗することを認めていましたが(民法605条)、登記をするためには地主の協力が必要であり、実際には登記がされることはなく、土地の賃貸借は対抗力のない状態に置かれていました。このような対抗力欠如の弊害は、日露戦争後の地価高騰の際、地主が地代の値上げを実現するため土地を第三者に売却し賃借権の消滅を図ろうとするという問題として現れました。
そこで、明治42年、「建物保護ニ関スル法律」が制定され、建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権により地上権者又は土地の賃借人がその土地の上に登記した建物を有するときは地上権又は土地の賃貸借はその登記がなかったとしても第三者に対抗することが認められるようになりました(建物保護に関する法律1条)。
借地法
建物保護に関する法律が制定された後も、都市部における住宅問題の解消や産業発展のため、賃借権を強化する必要性が認識されるようになりました。そこで、大正10年、借地法が制定されました。借地法の主な目的は、地上権又は賃借権の存続期間に関する民法の規定(268条、604条)の特則を設け、存続期間の下限を定めることにありました(借地法2条)。すなわち、借地法制定前は、借地契約において、借地権の存続期間につき短期の定めをしたり、地主が必要とするときはいつでも土地の明け渡す旨の定めを置いたりする例が少なくありませんでした。しかし、相当長期間存続すべき建物の所有を目的とする借地契約にもかかわらず、早期に地主から明け渡しを求められ、建物を撤去しなければならないとすれば、借地人にとって不利益のみならず、国家経済上の観点からも好ましいことではないと考えられたからです。そのほか、借地法では、更新請求(ただし更に契約を締結すべきことを請求する債権に過ぎず、強制力はありませんでした。同法4条1項)及び建物買取請求権(同法4条2項)、土地使用継続による法定更新(同法6条)、建物再築による存続期間の延長(同法7条)、第三者の建物買取請求権(同法10条)並びに地代増減額請求権(同法12条)等が定められました。
その後、昭和16年、借地法が改正されました。同改正では、借地権者の更新請求の性質が改められ、借地権者の一方的意思表示により、更に借地権を設定したものとみなされることになりました(同法4条1項本文)。更新請求に対しては、借地権設定者は異議を述べることができますが、正当な事由がある場合でなければ、更新の効力を妨げることできないものとされました(同法4条1項ただし書)。また、使用継続による法定更新に対して、借地権設定者は正当な事由がある場合でなければ、異議を述べることができないこととされました(同法6条2項)。
昭和41年、借地条件の変更又は増改築の許可(同法8条の2)、建物の譲渡又は転貸の許可(同法9条の2)等の借地非訟手続が新設されました。
借家法
昭和10年、借家法が制定されました。借家法では、建物賃貸借の対抗力(借家法1条)、建物の使用又は収益の継続による法定更新(同法2条)、賃貸人の解約申入期間(民法617条)の延長(借家法3条1条)、建物賃貸借の下限(借家法3条2項)、転借人の保護(同法4条)、造作買取請求権(同法5条)、家賃増減額請求権(同法7条)等が定められました。昭和16年、賃貸人は正当な事由がある場合でなければ賃貸借の更新を拒み又は解約の申入れをすることができないこととされました(借家法1条の2)。
条文の位置付け
- 借地借家法
- 総則
- 借地借家法第1条 - 趣旨
- 借地借家法第2条 - 定義
- 総則