ぼくが小学生だったころ、寄りみちをしながら歩いた田んぼの畦道は、
季節を感じるには十分すぎるほどの、変化に富んだ遊び場だった。
春に菜の花、夏には蛙、冬になれば雪の原が現れる。
そんな畦道の、秋の景色は彼岸花だった。
秋はすぐに日が落ちる。
夕暮れ時の田んぼのそばに、静かにたたずむ彼岸花。
幼少のときに読んだ絵本の、真っ赤な彼岸花が記憶に残っていて、
なんとなく怖いという気持ちが強く結びついていた。
大人になったいま、彼岸花にはまた違った印象を抱いている自分に気付く。
秋口の晴れた日に出会う、色鮮やかな曼珠沙華。
繊細な赤い花びらには、秋の爽やかな風がよく似合う。
彼岸花を見に、茂木の城山公園へ
栃木県茂木町の城山公園に、彼岸花を見に行った。
ここは何度か訪れたこともあって、桜の季節にも来たことがある。
普段は人も多くない、山の上の静かな公園。
しかし、秋になると、ここに大勢の観光客が訪れる。
その理由が、約50万本の彼岸花だ。
公園の斜面を覆いつくす彼岸花は圧巻。
足元を真っ赤に染め上げて、まるで別世界のように感じられる。
こんな景色を体験できる場所が近くあるということは、とても有り難いことだと思う。
彼岸花に対して抱いていたイメージが、またいい意味で覆された。
城山公園の情報
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- 住所
- 栃木県茂木町小井戸
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- アクセス
- 公園内に駐車場があります。真岡鐵道茂木駅より歩いて行くこともできます。