本判決の位置づけ
根保証契約の被保証債権が譲渡された場合に、その譲渡が根保証契約に定める元本期日前にされたものであっても、保証人に対して、保証債務の履行を求めることができると判示したものです。
事案の概要
Yは、平成19年6月29日、Aに対し、Aを貸主とし、Bを借主とする金銭消費貸借契約取引等により生ずるBの債務を主たる債務として、極度額を48億3000万円、保証期間を平成19年6月29日から5年間とする連帯保証をしました(以下「本件根保証契約」といいます。)
Aは、平成20年8月25日、Bに対し、7億9990円を貸し付けました。そして、Aは、平成20年9月26日、当該貸付けに係る債権をCに譲渡し、さらにCは、同日、Xに譲渡しました。
判決文(抜粋)
根保証契約を締結した当事者は、通常、主たる債務の範囲に含まれる個別の債務が発生すれば保証人がこれをその都度保証し、当該債務の弁済期が到来すれば、当該根保証契約に定める元本確定期日(本件根保証契約のように、保証期間の定めがある場合には、保証期間の満了日の翌日を元本確定期日とする定めをしたものと解することができる。)前であっても、保証人に対してその保証債務の履行を求めることができるものとして契約を締結し、被保証債権が譲渡された場合には保証債権もこれに随伴して移転することを前提としているものと解するのが合理的である。そうすると、被保証債権を譲り受けた者は、その譲渡が当該根保証契約に定める元本確定期日前にされた場合であっても、当該根保証契約の当事者間において被保証債権の譲受人の請求を妨げるような別段の合意がない限り、保証人に対し、保証債務の履行を求めることができるというべきである。