民法第433条
連帯債権者の一人と債務者との間に更改又は免除があったときは、その連帯債権者がその権利を失わなければ分与されるべき利益にかかる部分については、他の連帯債権者は、履行を請求することができない。

条文の趣旨と解説

平成29年民法(債権関係)改正により新設された規定です。
民法改正に際し、不可分債権の場合(429条)と同様に、「更改又は免除があった場合においても、他の連帯債権者は、債務の全部の履行を請求することができる」旨の規定を設ける案も示されました(『民法(債権関係)の改正に関する中間試案』)。
しかし、429条は、債権の目的が性質上不可分であるがゆえに設けられた規定であると考えられるところ、債権の目的がその性質上可分であることを前提とする連帯債権の場合には、履行を請求する債権者は、当初から更改等をした債権者に分与されるべき利益を除いて履行を請求することも可能であることから、改正民法では、連帯債権者の一人との間で更改又は免除があった場合につき、429条とは異なる規律が設けられました(部会資料67B)。

条文の位置付け