- 民法第496条
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- 債権者が供託を受諾せず、又は供託を有効と宣告した判決が確定しない間は、弁済者は、供託物を取り戻すことができる。この場合においては、供託をしなかったものとみなす。
- 前項の規定は、供託によって質権又は抵当権が消滅した場合には、適用しない。
条文の趣旨と解説
供託によって債務は消滅しますが(494条1項)、一定の事由が生じるまでは、弁済者は、供託を取り消して供託物を取り戻すことが認められています。取戻しが行われたときは供託がされなかったものとみなされます(本条1項後段)。
取り戻しができなくなる場合は、債権者が供託を受諾したとき、供託と有効と宣告した判決が確定したときです(本条1項前段)。
供託によって質権または抵当権が消滅したときは、初めから取戻しが認められていません(本条2項)。質権または抵当権の復活を認めると、第三者に不測の損害を及ぼすおそれがあるからです。
条文の位置付け
- 民法
- 債権
- 総則
- 債権の消滅
- 弁済
- 弁済の目的物の供託
- 民法第494条 – 供託
- 民法第495条 – 供託の方法
- 民法第496条 – 供託物の取戻し
- 民法第497条 – 供託に適しない物等
- 民法第498条 – 供託物の還付請求等
- 弁済の目的物の供託
- 弁済
- 債権の消滅
- 総則
- 債権