民法第1040条
  1. 配偶者は、前条に規定する場合を除き、配偶者短期居住権が消滅したときは、居住建物の返還をしなければならない。ただし、配偶者が居住建物について共有持分を有する場合は、居住建物取得者は、配偶者短期居住権が消滅したことを理由としては、居住建物の返還を求めることができない。
  2. 第599条第1項及び第2項並びに第621条の規定は、前項本文の規定により配偶者が相続の開始後に附属させた物がある居住建物又は相続の開始後に生じた損傷がある居住建物の返還をする場合について準用する。

条文の趣旨と解説

配偶者短期居住権が消滅したときは、配偶者が配偶者居住権(1028条)を取得した場合を除き、配偶者は居住建物の返還義務を負います(本条1項本文)。ただし、配偶者が居住建物について共有持分を有するときは、配偶者は居住建物の全部について持分に応じて使用することができることから(249条)、居住建物取得者は、配偶者短期居住権が消滅したことを理由としては、居住建物の返還を求めることはできないものとされています(本条1項ただし書)。

配偶者は、配偶者短期居住権が消滅したことにより居住建物を返還するときは、相続開始の後に居住建物に附属させた物を収去する義務を負います(本条2項において準用する599条1項本文)。ただし、居住建物から分離することができない物又は分離するのに過分の費用を要する物については、収去義務を負いません(本条2項において準用する599条1項ただし書)。

配偶者は、配偶者短期居住権が消滅したことにより居住建物を返還するときは、相続開始の後に居住建物に附属させた物を収去することができます(本条2項において準用する599条2項)。

配偶者は、配偶者短期居住権が消滅したことにより居住建物を返還するときは、相続開始後に居住建物に生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた損耗並びに経年変化を除きます.)を原状に復する義務を負います(本条2項において準用する621条本文)。ただし、その損傷が配偶者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、原状に復する義務を負いません(本条2項において準用する621条ただし書)。

条文の位置付け