夫婦の間では、もう言葉を交わしたくないと思っていても、離婚を成立させるまでには、どうしても相手と話し合わなければいけないことが出てきます。たとえば、離婚に向けて、次のような話合いが考えられるでしょう。
- 離婚には応じてもらえる?
- 子どもの親権や養育費はどうする?
- 夫婦で築き上げてきた財産は、どのように分ける?
他にも、今後の住居や住宅ローンの問題など、それぞれの家庭によって、話し合わなければいけないことは様々です。
離婚の話合いの場面では、離婚を急ぎたいという焦る胸中や、話合いから逃げ出したいという心境、あるいは投げやりの気分となっていることもあるかもしれません。しかし、あとで後悔しないためにも、話し合っておくべきことはしっかりと話し合っておくべきだと思います。
このページでは、離婚に至るまでの大まかな流れと、離婚に際して夫婦間で決めておかなければいけないことをご説明いたします。
離婚をするための方法について
まず、そもそも離婚はどのようにすれば、よいのでしょうか。
離婚をするためには、次のような方法があります。
(1) 協議離婚
夫婦は、夫婦間の話合いでお互いに離婚に合意をすれば、離婚をすることができます。そこで、離婚を望むときには、まずは離婚の成立に向けた話合いから始めることが一般的です。
相手が離婚に合意して、夫婦間で離婚の協議が成立した場合には、「離婚届」を区役所または市町村役場に届け出ることによって、離婚の効力が生じます。
(2) 調停離婚、審判離婚
離婚の協議ができない場合や相手が離婚に合意しない場合には、家庭裁判所に調停の申立てをします。離婚の訴え(裁判)を提起する前に、調停を起こさなければいけないことになっています(「調停前置主義」といいます。)。
(3) 裁判離婚
調停でも合意に達しない場合には、判決による離婚を求めることになります。
裁判により離婚が認められる場合
裁判上の離婚が認められるための離婚事由は以下のとおりです。
もっとも、以下の事由が認められる場合であっても、必ずしも当然に離婚が認められるわけではありません。裁判所が一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときには、離婚請求が認められないこともあります。
- 配偶者に不貞な行為があったとき
- 配偶者から悪意で遺棄されたとき
- 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
- その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
離婚の際に夫婦間で話し合っておくべき子と
離婚をする際に、夫婦間で話し合っておくべきことのうち、主なものは次のとおりです。
子について話し合っておくこと
協議離婚をする場合に、未成年の子がいるときは、父母の一方を親権者と定めなければなりません。裁判離婚の場合には、裁判所が、父母の一方を親権者と定めます。
氏について
婚姻によって氏を改めた方は、原則として離婚により婚姻前の氏に戻ります。もっとも、離婚の日から3カ月以内に届け出を行うことで、婚姻中に称していた氏を継続して使用することができます。
夫婦の財産について
離婚をした者の一方は、相手に対して財産の分与を請求することができます。財産分与について当事者間で協議が整わない場合や協議ができない場合には、家庭裁判所に財産分与の協議に代わる処分を請求することができます。
離婚事件における弁護士の役割
離婚の話合いは、精神的にも大きな負担となります。
弁護士からは法的知識に基づいたアドバイスを受けることができます。また、裁判による離婚を求める場合には、裁判所における主張・立証活動が重要となりますので、弁護士に依頼されることをお勧めいたします。