民法第550条
書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。
平成29年改正前民法第550条
書面によらない贈与は、各当事者が撤回することができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。

条文の趣旨と解説

贈与は諾成・不要式の契約であり、口頭の意思表示のみで成立します。しかし、書面によらない贈与については、当事者がその効力を消滅させることができるとして、拘束力を弱めています。

平成29年民法(債権関係)改正

改正前550条は「撤回」との文言を用いていましたが、用語の統一を図るために、「解除」という文言に改められました。
「解除」との文言に改められたことによって、解除に関する総則的規定が適用されるのかが問題となります。しかし、550条が想定しているのは目的物の引渡し前の場面であるため、545条、546条、548条の適用はなく、また、贈与の無償性に鑑み、547条も適用されないと解されます(『一問一答民法(債権関係)改正』)。

条文の位置付け