民法第466条の4
  1. 第466条第3項の規定は、譲渡制限の意思表示がされた債権に対する強制執行をした差押債権者に対しては、適用しない。
  2. 前項の規定にかかわらず、譲受人その他の第三者が譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった場合において、その債権者が同項の債権に対する強制執行をしたときは、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲受人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもって差押債権者に対抗することができる。

条文の趣旨と解説

平成29年民法(債権関係)改正によって新設された規定です。

改正前民法下においても、判例は「譲渡禁止の特約のある債権であつても、差押債権者の善意・悪意を問わず、これを差し押え、かつ、転付命令によつて移転することができる」(最高裁昭和45年4月10日第二小法廷判決)としていました。
本条1項は、この判例法理の内容を実質的に維持しつつ、明文化したものです。

なお、譲渡制限特約付きの債権が悪意又は重過失の譲受人に譲渡され、当該譲受人の債権者がその譲渡制限特約付きの債権に強制執行をした場合については、執行債務者である譲受人が有する権利以上の権利が認められるべきではないと考えられるため、差押債権者に対して、履行を拒絶し、譲渡人に対する弁済等の事由をもってこれを対抗することができるものと定められています(本条2項)。

条文の位置付け