民法第419条
  1. 金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。
  2. 前項の損害賠償については、債権者は、損害の証明をすることを要しない。
  3. 第1項の損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない。
平成29年改正前民法第419条
  1. 金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。
  2. 前項の損害賠償については、債権者は、損害の証明をすることを要しない。
  3. 第1項の損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない。

条文の趣旨と解説

金銭を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は法定利率によって定められるとされていたところ、平成29年民法改正において法定利率の変動制が採用されたことに伴い(民法404条)、法定利率の適用の基準時につき、当該債務につき債務者が遅滞の責任を負った最初の時点の法定利率によるものと規定されました。

法定利率の適用の具体例

不法行為に基づく損害賠償請求権については、一般に、不法行為時に直ちに遅滞に陥ると考えられているので、不法行為時の法定利率が適用されます。
また、安全配慮義務違反等の債務不履行責任に基づく損害賠償請求権は、期限の定めのない債務と解されており、債権者が履行の請求をした時から遅滞となるので(412条3項)、損害賠償額の算定に用いる法定利率は、請求時のものとなります(部会資料81B)。

平成29年民法改正に関する経過措置

施行日である令和2年4月1日より前に、債務者が遅滞の責任を負った場合における遅延損害金を生ずべき債権に係る法定利率については、改正前民法の規律によります(改正附則17条3項)。

条文の位置付け