民法第264条の2
  1. 裁判所は、所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない土地(土地が数人の共有に属する場合にあっては、共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない土地の共有持分)について、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、その請求に係る土地又は共有持分を対象として、所有者不明土地管理人(第4項に規定する所有者不明土地管理人をいう。以下同じ。)による管理を命ずる処分(以下「所有者不明土地管理命令」という。)をすることができる。
  2. 所有者不明土地管理命令の効力は、当該所有者不明土地管理命令の対象とされた土地(共有持分を対象として所有者不明土地管理命令が発せられた場合にあっては、共有物である土地)にある動産(当該所有者不明土地管理命令の対象とされた土地の所有者又は共有持分を有する者が所有するものに限る。)に及ぶ。
  3. 所有者不明土地管理命令は、所有者不明土地管理命令が発せられた後に当該所有者不明土地管理命令が取り消された場合において、当該所有者不明土地管理命令の対象とされた土地又は共有持分及び当該所有者不明土地管理命令の効力が及ぶ動産の管理、処分その他の事由により所有者不明土地管理人が得た財産について、必要があると認めるときも、することができる。
  4. 裁判所は、所有者不明土地管理命令をする場合には、当該所有者不明土地管理命令において、所有者不明土地管理人を選任しなければならない。

条文の趣旨と解説

令和3年民法・不動産登記法改正により所有者不明土地管理制度が創設されました。

改正前民法下においても、所有者の所在が不明な土地を管理する必要が生じた場合には、不在者財産管理制度(民法25条1項)や相続財産管理制度(民法952条1項)が利用されていました。

しかし、これらの制度において選任された管理人は、不在者の財産全般又は相続財産全般を管理することとされているため、特定の財産の管理を目的として財産管理人が選任された場合であっても、財産全般を管理することを前提とした事務作業や費用等の負担を強いられ、また管理期間も長期化しているとの指摘がありました。

そこで、改正民法では、所有者不明土地の円滑かつ適正な管理を実現するため、所有者不明土地の管理に特化した所有者不明土地管理制度が創設されました(民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)等の改正に関する中間試案の補足説明』)。

条文の位置付け