- 民法第295条
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- 他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる。ただし、その債権が弁済期にないときは、この限りでない。
- 前項の規定は、占有が不法行為によって始まった場合には、適用しない。
条文の趣旨と解説
留置権は、他人の物の占有者が、その物に関して生じた債権を有する場合に、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる権利です(本条1項本文)。物を留置することによって、間接的に債務者の弁済を強制するものであり、民法は、公平の原理に基づき、法定担保物権として留置権を認めています。
ただし、債権が弁済期にないときは、留置権は成立しません(本条1項ただし書)。
占有が不法行為によって始まった場合には、そのような占有者の債権を保護する必要がないため、留置権は成立しません(本条2項)。