民法第299条
  1. 留置権者は、留置物について必要費を支出したときは、所有者にその償還をさせることができる。
  2. 留置権者は、留置物について有益費を支出したときは、これによる価格の増加が現存する場合に限り、所有者の選択に従い、その支出した金額又は増価額を償還させることができる。ただし、裁判所は、所有者の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。

条文の趣旨と解説

留置権者は、留置物について必要費を支出したときは、所有者にその償還を請求することができます(本条1項)。

留置権者が留置物について有益費を支出したときは、価格の増加が現存する場合に限り、所有者の選択に従って、その支出した金額又は増加額を償還させることができます(本条2項本文)。
ただし、裁判所は、所有者の請求により、その償還について相当の期限を許与することができます(本条2項ただし書)。裁判所によって相当の期限が許与された場合には、有益費の償還請求権を被担保債権として留置権を行使することはできなくなります。

条文の位置付け