- 民法第300条
- 留置権の行使は、債権の消滅時効の進行を妨げない。
条文の趣旨と解説
留置権の行使は債権の消滅時効の進行を妨げないものとされています。
ただし、目的物の引渡請求訴訟において、留置権者が留置権の抗弁を提出して引渡しを拒んだ場合、判例は「訴訟上の留置権の抗弁は、これを撤回しない限り、当該訴訟の係属中継続して目的物の引渡を拒否する効力を有するものであり、従つて、該訴訟が被担保債権の債務者を相手方とするものである場合においては、右抗弁における被担保債権についての権利主張も継続してなされているものといい得べく、時効中断の効力も訴訟係属中存続するものと解すべきである。そして、当該訴訟の終結後六ケ月内に他の強力な中断事由に訴えれば、時効中断の効力は維持されるものと解する」と判示しています(最高裁昭和38年10月30日大法廷判決)。