- 民法第338条
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- 不動産の工事の先取特権の効力を保存するためには、工事を始める前にその費用の予算額を登記しなければならない。この場合において、工事の費用が予算額を超えるときは、先取特権は、その超過額については存在しない。
- 工事によって生じた不動産の増価額は、配当加入の時に、裁判所が選任した鑑定人に評価させなければならない。
条文の趣旨と解説
不動産の工事の先取特権は、工事を始める前にその費用の予算額を登記することによって、その効力を保存します(1項前段)。工事音費用が予算額を超えるときは、先取特権は、その超過額については存在しないものとされます(本条1項後段)。
本条1項前段の「効力を保存」の意味については、判例は、登記がなければ先取特権の効力が生じないという意味に解しています(大審院判例大正6年2月9日判決)。
不動産の工事の先取特権は、工事によって生じた不動産の価格の増加が現存する場合に限り、その増加額についてのみ存在するところ(327条2項)、この増加額は、配当加入の時に、裁判所が選任した鑑定人に評価をさせなければなりません(本条2項)。