『めぐらし屋』という小説を読んだ。

めぐらし屋 (新潮文庫)

疎遠だった父の遺品の整理をしているうちに、
父が「めぐらし屋」と呼ばれていたことを知る主人公。
生前、父と関わりがあった人の話を聞きながら、
めぐらし屋としての父に近づいていく。

はじめに、「めぐらし屋」という名前にひかれた。
他人のために、至らぬ点がないか、十分に、そして慎重に考える、
というのが「思いを巡らす」ということではないだろうか。

こうしたら、どうなるか、
相手に不利益を及ぼさないか、
本当にこの人のためになるだろうか、など
考えだすと限りが無くなることも、たしかにある。

それでも人と人との関係のなかで、
他人のために思いを巡らすことは大切なことだと思う。
少なくとも身近な人間関係は「思いやり」で成立しているから。

自分はお客さんや周囲の人のために思いを巡らせているか、
そんなことをあらためて考えさせられた。