東京弁護士会に「法友会」という会派があり、
さらに法友会のなかに東日本大震災等復興支援特別委員会が組まれている。
この委員会では、被災地の復興の状況と課題を知るために、
東北各地の被災地の訪問を継続的に行っている。
今年度は岩手県釜石市を訪問することとなっていた。

今回、ぼくはこの被災地訪問にはじめて参加することになった。
ぼくも学生時代に宮城県仙台市に住んでいたので、
東日本大震災の復興には関心がある。

岩手県釜石市

釜石市内の甲子川

岩手県釜石市は、もともと漁業を中心とした村だったが、
1857年、洋式高炉の完成をきっかけに製鉄業で栄え、
東北有数の重工業都市となったそうだ。
しかし、釜石市における製鉄業の衰退とともに、
人口は急激な減少の一途をたどっていた。

そのような状況下で釜石市を襲ったのが東日本大震災だった。

震災によって被害を受けた「モノ」だけを復旧しても、
持続可能な成長にはつなげなければ、復興は実現しない。

被災地訪問では、釜石市役所のオープンシティ推進室の方のお話を伺うことができた。
地域の新たな自立を目指すという目標を掲げ、
地域の人口減少にも耐えうる、活力ある街づくりを目指しているとのこと。
オープンシティ推進室のこれまでの活動も大変興味深かった。

根浜海岸

震災前は白砂の美しい海水浴場であった根浜海岸。

釜石市の根浜海岸

釜石市の根浜海岸

釜石市の根浜海岸

この根浜地域では、地域住民の方々が「根浜マインド」という法人を立ち上げた。
住民主体のボートレスキューシステムの取り組み、車椅子でも逃げられる避難道の整備、持続可能な海辺の地域暮らしを実現するためにオリジナルワインといった特産品の開発を行っている。

釜石観音仲見世リノベーションプロジェクト

2017年に店舗が0となった釜石観音仲見世通り。
この仲見世通りの活性化のためにリノベーション事業が進んでいるそうだ。
コワーキングスペースのオープンを皮切りに、
ローカルベンチャーのコミュニティが作られつつある。

釜石大観音仲見世通り

釜石大観音仲見世通り

釜石大観音仲見世リノベーション

釜石市の街づくりについて

復興の中心として活動されている方々の貴重なお話を聞くことができた。

これまで復興というと「元に戻す」というイメージがあったけれど、
元に戻しただけではダメージは回復しない。

復興に携わっている方々からは、
持続可能な地域生活を実現するために、
中核となる産業を育てようという強い思いを感じた。
地域の方々は復興のさらに先に目を向けていた。