民法第663条
  1. 当事者が寄託物の返還の時期を定めなかったときは、受寄者は、いつでもその返還をすることができる。
  2. 返還の時期の定めがあるときは、受寄者は、やむを得ない事由がなければ、その期限前に返還をすることができない。

条文の趣旨と解説

寄託物の返還時期を定めなかったときは、受寄者は、いつでも寄託物を返還することができます(1項)。

これに対して、返還時期を定めたときには、受寄者は、原則として、寄託物を期限前に返還することはできません。例外的に、やむを得ない事由があるときには、寄託物を返還をすることができます(2項)。ここでいう、やむを得ない事由というのは、約束した保管義務を免れさせるものですから、「契約の当時想像されなかった事情を生じ、その結果保管の安全を期しえないか受寄者に危険を生ずるおそれがあるようになること」と解されています(我妻栄『債権各論中巻二』)。

条文の位置付け