- 民法第417条の2
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- 将来において取得すべき利益についての損害賠償の額を定める場合において、その利益を取得すべき時までの利息相当額を控除するときは、その損害賠償の請求権が生じた時点における法定利率により、これをする。
- 将来において負担すべき費用についての損害賠償の額を定める場合において、その費用を負担すべき時までの利息相当額を控除するときも、前項と同様とする。
条文の趣旨と解説
平成29年民法改正により新設された規定です。
判例は、「被害者の将来の逸失利益を現在価額に換算するために控除すべき中間利息の割合は、民事法定利率によらなければならない」としていました(平成17年6月14日最高裁第三小法廷判決)。改正民法は、まずこの判例の考えを維持し、中間利息控除について法定利率を用いることを明文化しました。
その上で、平成29年民法改正により、法定利率の変動制が採用されたことに伴い(民法404条)、どの時点の法定利率を用いるかという問題が生じます。そこで、中間利息を控除する場合には、その損害賠償の請求権が生じた時点における法定利率により算定することが規定されました。
経過措置について
本条は、施行日である令和2年4月1日より前に生じた、将来において取得すべき利益又は負担すべき費用についての損害賠償請求権については、適用されません(改正附則17条2項)。