- 民法第909条
- 遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。
条文の趣旨と解説
民法は、遺産分割の効力は、相続の時にさかのぼるものとしています(本条本文)。すなわち、各相続人は、遺産分割によって得た権利を、相続開始時に被相続人から直接に承継したものとして扱われることになります。
しかし、このような遡及効は第三者に不測の損害を及ぼすおそれがあることから、民法は、第三者の権利は害することができないと規定し、遡及効に調整的制限を加えています(本条ただし書)。
条文の位置付け
- 民法
- 相続
- 相続の効力
- 遺産の分割
- 民法第906条 – 遺産の分割の基準
- 民法第906条の2 – 遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合の遺産の範囲
- 民法第907条 – 遺産の分割の協議又は審判等
- 民法第908条 – 遺産の分割の方法の指定及び遺産の分割の禁止
- 民法第909条 – 遺産の分割の効力
- 民法第909条の2 – 遺産の分割前における預貯金債権の行使
- 民法第910条 – 相続の開始後に認知された者の価額の支払請求権
- 民法第911条 – 共同相続人間の担保責任
- 民法第912条 – 遺産の分割によって受けた債権についての担保責任
- 民法第913条 – 資力のない共同相続人がある場合の担保責任の分担
- 民法第914条 – 遺言による担保責任の定め
- 遺産の分割
- 相続の効力
- 相続