民法第910条
相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において、他の共同相続人が既にその分割その他の処分をしたときは、価額のみによる支払の請求権を有する。

条文の趣旨と解説

相続の開始後に認知によって相続人となった者が分割の請求をしようとする場合において、既に遺産分割その他の処分がされていたときは、被認知者は、価額によって自己の相続分だけの支払を請求すべきものとされています。本条の趣旨は、分割のやり直しを回避して分割の効力を維持し、他方で、被認知者には価額による支払請求権を認めることによりその利益を保護するものと説明されています(副田隆重『新注釈民法(19)』)。

条文の位置付け