- 民法第910条
- 相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において、他の共同相続人が既にその分割その他の処分をしたときは、価額のみによる支払の請求権を有する。
条文の趣旨と解説
相続の開始後に認知によって相続人となった者が分割の請求をしようとする場合において、既に遺産分割その他の処分がされていたときは、被認知者は、価額によって自己の相続分だけの支払を請求すべきものとされています。本条の趣旨は、分割のやり直しを回避して分割の効力を維持し、他方で、被認知者には価額による支払請求権を認めることによりその利益を保護するものと説明されています(副田隆重『新注釈民法(19)』)。
条文の位置付け
- 民法
- 相続
- 相続の効力
- 遺産の分割
- 民法第906条 – 遺産の分割の基準
- 民法第906条の2 – 遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合の遺産の範囲
- 民法第907条 – 遺産の分割の協議又は審判等
- 民法第908条 – 遺産の分割の方法の指定及び遺産の分割の禁止
- 民法第909条 – 遺産の分割の効力
- 民法第909条の2 – 遺産の分割前における預貯金債権の行使
- 民法第910条 – 相続の開始後に認知された者の価額の支払請求権
- 民法第911条 – 共同相続人間の担保責任
- 民法第912条 – 遺産の分割によって受けた債権についての担保責任
- 民法第913条 – 資力のない共同相続人がある場合の担保責任の分担
- 民法第914条 – 遺言による担保責任の定め
- 遺産の分割
- 相続の効力
- 相続