民法第251条
  1. 各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。
  2. 共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、当該他の共有者以外の他の共有者の同意を得て共有物に変更を加えることができる旨の裁判をすることができる。
令和3年改正前民法第251条
各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。

条文の趣旨と解説

共有物の変更に関する規定です。

令和3年民法・不動産登記法改正について

形状又は効用の著しい変更を伴わない行為

法制審議会民法・不動産登記法部会における審議過程においては、客観的に共有者に与える影響が軽微であると考えられる場合には、共有者全員の同意を要求せず、持分の価格の過半数により決定することができるとすべきという意見が出されました(部会資料51)。
この意見を踏まえ、改正民法では、共有物の変更行為に該当するものであっても、その形状又は効用の著しい変更を伴わない行為については、持分の価格の過半数により決定できるものとされています(本条1項)。

所在等不明共有者がいる場合の特則

改正前民法においては、共有者の同意を取得する方法について特に定めを置いていなかったことから、共有者の氏名や名称又はその所在を知ることができない場合には、当該共有者の同意を得ることができず、共有物の変更行為をすることができないという問題点が指摘がされていました(『民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)等の改正に関する中間試案の補足説明』)。
そこで、改正民法では、共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、当該他の共有者以外の他の共有者の同意を得て共有物に変更を加えることができる旨の裁判をすることができるものとされています(本条2項)。

条文の位置付け