- 民法第262条
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- 分割が完了したときは、各分割者は、その取得した物に関する証書を保存しなければならない。
- 共有者の全員又はそのうちの数人に分割した物に関する証書は、その物の最大の部分を取得した者が保存しなければならない。
- 前項の場合において、最大の部分を取得した者がないときは、分割者間の協議で証書の保存者を定める。協議が調わないときは、裁判所が、これを指定する。
- 証書の保存者は、他の分割者の請求に応じて、その証書を使用させなければならない。
条文の趣旨と解説
共有物に関する証書は、分割後も各共有者が分割によって取得した部分の権利の証明について必要なことが多いと考えられることから(舟橋諄一『物権法』)、民法は、次のとおり、共有物分割後における共有物に関する証書の保存義務について定めています。
まず、各分割者は、その取得した物に関する証書を保存しなければなりません(本条1項)。また、数人に分割した物に関する証書は、その物の最大の部分を取得した者が保存しなければなりません(本条2項)。数人に分割した場合において、最大の部分を取得した者がないときは、分割者間の協議によって定めた者、協議が調わない場合には裁判所が指定した者が保管します(本条3項)。
証書の保存者は、他の分割者の請求があるときは、その証書を使用させなければなりません(本条4項)。
条文の位置付け
- 民法
- 物権
- 所有権
- 共有
- 民法第249条 – 共有物の使用
- 民法第250条 – 共有持分の割合の推定
- 民法第251条 – 共有物の変更
- 民法第252条 – 共有物の管理
- 民法第252条の2 – 共有物の管理者
- 民法第253条 – 共有物に関する負担
- 民法第254条 – 共有物についての債権
- 民法第255条 – 持分の放棄及び共有者の死亡
- 民法第256条 – 共有物の分割請求
- 民法第257条 – 共有物の分割請求
- 民法第258条 – 裁判による共有物の分割
- 民法第258条の2 – 裁判による共有物の分割
- 民法第259条 – 共有に関する債権の弁済
- 民法第260条 – 共有物の分割への参加
- 民法第261条 – 分割における共有者の担保責任
- 民法第262条 – 共有物に関する証書
- 民法第262条の2 – 所在等不明共有者の持分の取得
- 民法第262条の3 – 所在等不明共有者の持分の譲渡
- 民法第263条 – 共有の性質を有する入会権
- 民法第264条 – 準共有
- 共有
- 所有権
- 物権