民法第351条
他人の債務を担保するため質権を設定した者は、その債務を弁済し、又は質権の実行によって質物の所有権を失ったときは、保証債務に関する規定に従い、債務者に対して求償権を有する。

条文の趣旨と解説

他人の債務を担保するために質権を設定した者(物上保証人)が、債務者の債務を弁済し、又は質権の実行によって質物の所有権を失ったときは、保証債務に関する規定に従って、債務者に対して求償権を取得します(本条)。

具体的には、債務者の委託を受けて物上保証人となった場合には、弁済に充てられた額並びに弁済等があった日以後の法定利息及び避けることができなかった費用その他の損害を求償することができます(459条1項同条2項において準用する442条2項)。
債務者の委託を受けないで物上保証人となった場合、質権の設定が債務者の意思に反しないときは、物上保証人は弁済当時利益を受けた限度において求償することができ(462条1項において準用する459条の2第1項)、質権の設定が債務者の意思に反するときは、物上保証人は債務者が現に利益を受けている限度においてのみ求償することができます(462条2項)。

条文の位置付け