民法第459条
  1. 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務者に代わって弁済その他自己の財産をもって債務を消滅させる行為(以下「債務の消滅行為」という。)をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対し、そのために支出した財産の額(その財産の額がその債務の消滅行為によって消滅した主たる債務の額を超える場合にあっては、その消滅した額)の求償権を有する。
  2. 第442条第2項の規定は、前項の場合について準用する。
平成29年改正前民法第459条
  1. 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、過失なく債権者に弁済をすべき旨の裁判の言渡しを受け、又は主たる債務者に代わって弁済をし、その他自己の財産をもって債務を消滅させるべき行為をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対して求償権を有する。
  2. 第442条第2項の規定は、前項の場合について準用する。

条文の趣旨と解説

保証債務の履行は、債権者との関係では保証人自らの債務の履行に当たりますが、債務者との関係においては他人の債務を弁済することにほかなりません。主債務者から委託を受けた保証人が弁済をした場合には、委任事務処理の費用の償還(650条参照)に準じ、保証人は、主債務者に対して求償権を有することになります(本条1項)。

平成29年改正前民法459条の文言からは、保証人が代物弁済等をしたことにより債務を消滅させた場合に、その保証人が負担した経済的な支出の額と消滅した債務の額のいずれを基準として求償額を算定するかが明確ではなかったため、改正民法では、括弧書きにおいて「その財産の額がその債務の消滅行為によって消滅した主たる債務の額を超える場合にあっては、その消滅した額」との文言が追加されました。

委託を受けた保証人の求償権の範囲は、連帯債務者の求償権の範囲(442条2項)と同様に取り扱われます(本条2項)。したがって、弁済その他免責があった日以後の法定利息及び避けることができなかった費用その他の損害の賠償が含まれることになります。

条文の位置付け