民法第447条
  1. 保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する。
  2. 保証人は、その保証債務についてのみ、違約金又は損害賠償の額を約定することができる。

条文の趣旨と解説

保証債務の範囲は、元本全額のほか、利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるものに及びます(本条1項)。
保証債務は、主たる債務とは別個の債務であることから、保証債務の履行を確実にするため、保証債務についてのみ、違約金又は損害賠償の額を予定することもできます(本条2項)。

主たる債務についての契約解除の場合

まず契約解除による損害賠償義務(545条4項)については、その法的性質は債務不履行による損害賠償債務(415条)と考えられ、主たる債務と損害賠償債務とが同一性を有するといえることから、保証人の責任が及びます。判例も「保証人は主たる債務が契約を履行せざる場合においてはその不履行に基づき契約の解除せられたると否とを問わずその不履行によって生じたる一切の損害賠償の責めに任ずる」としています(大審院明治38年7月10日判決)。
これに対して、契約解除による原状回復義務(545条1項)については、主たる債務との同一性が認められないとも思われるため、保証債務の担保する範囲に含まれるかどうかが問題となります。この問題について、最高裁は、特定物売買の売主のための保証があった事案において、「特定物の売買における売主のための保証においては、通常、その契約から直接に生ずる売主の債務につき保証人が自ら履行の責に任ずるというよりも、むしろ、売主の債務不履行に基因して売主が買主に対し負担することあるべき債務につき責に任ずる趣旨でなされるものと解するのが相当であるから、保証人は、債務不履行により売主が買主に対し負担する損害賠償義務についてはもちろん、特に反対の意思表示のないかぎり、売主の債務不履行により契約が解除された場合における原状回復義務についても保証の責に任ずるものと認めるのを相当とする」と判示しています(最高裁昭和40年6月30日大法廷判決)。

条文の位置付け