- 民法第460条
- 保証人は、主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、次に掲げるときは、主たる債務者に対して、あらかじめ、求償権を行使することができる。
- 主たる債務者が破産手続開始の決定を受け、かつ、債権者がその破産財団の配当に加入しないとき。
- 債務が弁済期にあるとき。ただし、保証契約の後に債権者が主たる債務者に許与した期限は、保証人に対抗することができない。
- 保証人が過失なく債権者に弁済をすべき旨の裁判の言渡しを受けたとき。
- 平成29年改正前民法第460条
- 保証人は、主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、次に掲げるときは、主たる債務者に対して、あらかじめ、求償権を行使することができる。
- 主たる債務者が破産手続開始の決定を受け、かつ、債権者がその破産財団の配当に加入しないとき。
- 債務が弁済期にあるとき。ただし、保証契約の後に債権者が主たる債務者に許与した期限は、保証人に対抗することができない。
- 債務の弁済期が不確定で、かつその最長期をも確定することができない場合において、保証契約の後10年を経過したとき。
条文の趣旨と解説
主たる債務者の委託を受けた保証人は、特別の場合に限り、主たる債務者に対して予め求償することができます。
(1) 主たる債務者が破産手続開始の決定を受け、かつ、債権者がその破産財団の配当に加入しないとき(本条1号)、保証人は求償権によって、財団の配当に加入することができます(破産法104条3項、4項)。
(2) 債務が弁済期にあるとき(本条2号)、保証人は事前に求償権を行使することができます。ただし、この弁済期は保証契約成立の時の弁済期を基準とし、保証契約成立の後に債権者が主たる債務者に許与した期限は、保証人に対抗することができないものとされています。
(3) 保証人が過失なく債権者に弁済をすべき旨の裁判の言渡しを受けたとき(本条3号)、保証人は事前に求償権を行使することができます。
条文の位置付け
- 民法
- 債権
- 総則
- 多数当事者の債権及び債務
- 保証債務
- 総則
- 民法第446条 – 保証人の責任等
- 民法第447条 – 保証債務の範囲
- 民法第448条 – 保証人の負担と主たる債務の目的又は態様
- 民法第449条 – 取り消すことができる債務の保証
- 民法第450条 – 保証人の要件
- 民法第451条 – 他の担保の供与
- 民法第452条 – 催告の抗弁
- 民法第453条 – 検索の抗弁
- 民法第454条 – 連帯保証の場合の特則
- 民法第455条 – 催告の抗弁及び検索の抗弁の効果
- 民法第456条 – 数人の保証人がある場合
- 民法第457条 – 主たる債務者について生じた事由の効力
- 民法第458条 – 連帯保証人について生じた事由の効力
- 民法第458条の2 – 主たる債務の履行状況に関する情報の提供義務
- 民法第458条の3 – 主たる債務者が期限の利益を喪失した場合における情報の提供義務
- 民法第459条 – 委託を受けた保証人の求償権
- 民法第459条の2 – 委託を受けた保証人が弁済期前に弁済等をした場合の求償権
- 民法第460条 – 委託を受けた保証人の事前の求償権
- 民法第461条 – 主たる債務者が保証人に対して償還をする場合
- 民法第462条 – 委託を受けない保証人の求償権
- 民法第463条 – 通知を怠った保証人の求償の制限等
- 民法第464条 – 連帯債務又は不可分債務の保証人の求償権
- 民法第465条 – 共同保証人間の求償権
- 総則
- 保証債務
- 多数当事者の債権及び債務
- 総則
- 債権