民法第462条
  1. 第459条の2第1項の規定は、主たる債務者の委託を受けないで保証をした者が債務の消滅行為をした場合について準用する。
  2. 主たる債務者の意思に反して保証をした者は、主たる債務者が現に利益を受けている限度においてのみ求償権を有する。この場合において、主たる債務者が求償の日以前に相殺の原因を有していたことを主張するときは、保証人は、債権者に対し、その相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。
  3. 第459条の2第3項の規定は、前2項に規定する保証人が主たる債務の弁済期前に債務の消滅行為をした場合における求償権の行使について準用する。
平成29年改正前民法第462条
  1. 主たる債務者の委託を受けないで保証をした者が、弁済をし、その他自己の財産をもって主たる債務者にその債務を免れさせたときは、主たる債務者は、その当時利益を受けた限度において償還をしなければならない。
  2. 主たる債務者の意思に反して保証をした者は、主たる債務者が現に利益を受けている限度においてのみ求償権を有する。この場合において、主たる債務者が求償の日以前に相殺の原因を有していたことを主張するときは、保証人は、債権者に対し、その相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。

条文の趣旨と解説

主たる債務者の委託を受けない保証人の求償権の範囲は、保証人となったことが主たる債務者の意思に反するかどうかによって異なります。

保証人となったことが主たる債務者の意思に反しないとき

保証人が債務の消滅行為をした当時、主たる債務者が利益を受けた限度で、求償権を有します(本条1項において準用する459条の2第1項前段)。したがって、債務の消滅行為のあった日以後における法定利息及び損害賠償等は含まれません。
主たる債務者が債務の消滅行為の日以前に相殺の原因(505条)を有していたことを主張するときは、保証人は、債権者に対して、その相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することになります(本条1項において準用する459条の2第1項後段)。

保証人となったことが主たる債務者の意思に反するとき

主たる債務者が現に利益を受けている限度においてのみ、求償権を有します(本条2項前段)。
主たる債務者が求償の日以前に相殺の原因(505条)を有していたことを主張するときは、保証人は、債権者に対して、その相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することになります(本条2項後段)。

弁済期前に債務の消滅行為をした場合

保証人は、主たる債務の弁済期前には、求償権を行使することはできません(本条3項において準用する459条の2第3項)。

条文の位置付け