- 民法第452条
- 債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又はその行方が知れないときは、この限りでない。
条文の趣旨と解説
保証債務は、原則として主たる債務が履行されない場合に第二次的に履行すべき債務という性質から、債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をするように求めることができます(本条本文)。催告の抗弁権を行使されたにもかかわらず、債権者が主たる債務者に対する催告をすることを怠ったために主たる債務者から全部の弁済を得られなかったときは、保証人は、債権者が直ちに催告をすれば弁済を得ることができた限度において、その義務を免れることができます(455条)
もっとも、債権者は裁判外の催告をすれば足りるので、催告の抗弁権の効果は甚だ弱いといわれています(我妻栄『新訂債権総論』)。
なお、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又はその行方が知れないとき(本条ただし書)、連帯保証のとき(454条)、催告の抗弁権を放棄したとき(大審院明治37年9月22日判決)は、保証人は催告の抗弁権を持ちません。
条文の位置付け
- 民法
- 債権
- 総則
- 多数当事者の債権及び債務
- 保証債務
- 総則
- 民法第446条 – 保証人の責任等
- 民法第447条 – 保証債務の範囲
- 民法第448条 – 保証人の負担と主たる債務の目的又は態様
- 民法第449条 – 取り消すことができる債務の保証
- 民法第450条 – 保証人の要件
- 民法第451条 – 他の担保の供与
- 民法第452条 – 催告の抗弁
- 民法第453条 – 検索の抗弁
- 民法第454条 – 連帯保証の場合の特則
- 民法第455条 – 催告の抗弁及び検索の抗弁の効果
- 民法第456条 – 数人の保証人がある場合
- 民法第457条 – 主たる債務者について生じた事由の効力
- 民法第458条 – 連帯保証人について生じた事由の効力
- 民法第458条の2 – 主たる債務の履行状況に関する情報の提供義務
- 民法第458条の3 – 主たる債務者が期限の利益を喪失した場合における情報の提供義務
- 民法第459条 – 委託を受けた保証人の求償権
- 民法第459条の2 – 委託を受けた保証人が弁済期前に弁済等をした場合の求償権
- 民法第460条 – 委託を受けた保証人の事前の求償権
- 民法第461条 – 主たる債務者が保証人に対して償還をする場合
- 民法第462条 – 委託を受けない保証人の求償権
- 民法第463条 – 通知を怠った保証人の求償の制限等
- 民法第464条 – 連帯債務又は不可分債務の保証人の求償権
- 民法第465条 – 共同保証人間の求償権
- 総則
- 保証債務
- 多数当事者の債権及び債務
- 総則
- 債権